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工事担任者AI・DD総合種を独学で取得に向けた勉強法とおすすめ参考書

工事担任者AI・DD総合種を取得してからしばらく経ちました。

電気通信回線や端末設備は日進月歩で技術の進化が進んでいく分野で勉強する内容もどんどん変わってきます。それだけに私がおすすめする勉強方法を実践することで、ネットワークや端末機器の知識を得ることが可能になります。

それを自分の身の回りに活かせることが出来るというメリットまで生まれます。

工事担任者の資格が変わります!

工事担任者規則の改正により、2021年4月より工事担任者資格の種類、名称がそれぞれ変わります。

工事担任者AI・DD総合種は「総合通信」という名称になります。

そうなるとAI・DD総合種を取得した意味がないのかということになりますが

総合通信の資格受験の際に、科目免除を受けることが出来ます。

例えば、アナログ・デジタル総合種を取得している場合には、総合通信の基礎、法規の免除が得られます。

技術科目のみの受験でOKというのは学習の負担がかなり軽減出来るのではないでしょうか?

私が独学で工事担任者AI・DD総合種を取得した勉強法とは?

工事担任者ノート

私が独学で工事担任者AI・DD総合種を取得した勉強法とは「いきなり問題に取り組む、問題実践暗記型勉強法です。」

この資格試験の場合は、テキストを一通り読んでから問題に取り組むことは遠回りになります。

それは次のような理由があるからです。

  • アナログ、デジタルの電気通信技術に関する範囲が非常に広いこと。
  • 電気・電子回路、論理回路、伝送理論といった計算問題に分類される分野だけで電気の知識が必要とされ、それらに関する参考書だけで本数冊になり時間が足りなくなること。
  • 工事担任者試験全般に言えるが出題されるパターンが決まっているので、これらの数式・公式を覚えていくよりも出題パターンを暗記して対応する方が学習効率が良いこと。

これらの理由から、私は工事担任者試験にはいきなり問題を繰り返していくことで出題パターンや頻出数式・公式を暗記していくという実践型学習法で臨み、合格することが出来ました。

工事担当者AI・DD総合種「基礎」の勉強法

「基礎」は計算問題が出題されるのでこの計算問題をクリアできるかが合格の鍵と言えます。電気回路、電子回路、論理回路、伝送理論の分野が計算問題にあたりますが、これらについても過去問主体で勉強を進めていきます。

基本的に、計算問題についても出題される問題のパターンは決まっているので公式や導き方を掴んでしまえば段々慣れてきて回答できるようになってきます。諦めずに過去問を解いていくことが遠いようで近道だと言えます。

使用テキストはリックテレコム「工事担任者AI・DD総合種実戦問題」、「工事担任者AI・DD総合種標準テキスト改訂版」の2冊です。

その理由が次の点です。

  • 「実戦問題」には最新過去問が収録されていて、重要な頻出範囲についてまとめられているため
  • 解説が詳細であるのでこの本1冊でも十分合格することが可能になるため

電気回路について

直流回路の計算問題に関してはパズルのような回路が出題されますが、キルヒホッフの法則、コンデンサの問題はクーロンの法則の公式を理解した上で取り組んでいくのが一番の近道です。

キルヒホッフの法則とは?

引用: 電気と資格のお勉強

クーロンの法則

引用: 電気と資格のお勉強

「直流回路」攻略のポイントは次の2点です。

  1. 直流回路の場合は出題されるバリエーションが多いのでどうしても解けない場合にはスルーして他の問題に行ってもOK
  2. 交流回路に関しては出題されるパターンが決まっていて、数値の入れ替えのような問題が多いので絶対落とさないようにする

いずれにせよ、この分野だけに限っては基本を抑えた学習が重要だと思います。なぜならこの分野だけはパターンを覚えた学習では問題が捻られた場合には手も足も出ないからです。

電気工事士など学習の経験がある方は是非取り組みましょう。

電子回路について

電子回路については半導体、トランジスタ、トランジスタの電流増幅率などが出題されますが、繰り返し出題される問題が多いので、過去問を中心に取り組んでいくのが効率が良いです。問題の中から半導体、トランジスタの特性を抑えていくようにしましょう。

「電子回路」については以下の問題が出題される傾向が高いです。

  • 半導体
  • トランジスタ
  • トランジスタの電流増幅率

これらは繰り返し出題される問題が多いので、過去問を中心に取り組んでいくのが効率が良いです。

問題の中から半導体、トランジスタの特性を抑えていくようにしましょう。

「トランジスタの電圧増幅度」や「電流増幅率の計算問題」に関しては次の3点を抑えておきましょう。

  1. ベース
  2. エミッタ
  3. コレクタの相関性

覚えるべき公式が2つしかないのでどちらのパターンの問題なのかが分かるすると得点源にできると思います。

論理回路について

この分野は私も苦手でした。

「論理回路」攻略のポイントは次の通りです。

  • プール代数とベン図の読み取り
  • 論理素子、プール代数の基本定理(特に交換、結合、分配、補元、ド・モルガンの法則

私は「論理回路」の0,1の組み合わせの2進数の乗算については一旦10進数に戻して計算をして、再度2進数に変換をするという形を取っていました。

しかしこれは間違いの元になるそうです。

可能であれば2進数のまま計算ができるようになると効率がよくなるとのことです。

ただし、個人的には論理回路については公式だとか覚えるパターンが多いので苦手な方は捨てるのもアリだと思います。

私も計算問題などは正直言って捨ててました。

この辺は60%を目指す勉強として割り切っていくのも間違いではないと思います。

伝送理論について

漏話減衰量の計算問題に関しては、ほぼパターンが決まっている問題です。

そのため、解への導き方を覚えることが重要です。

反復して計算を繰り返していけば同じような問題が出題されれば解けるようになると思います。

伝送技術について

光ファイバの構造や変調方式、特性などが頻出されている分野です。

こちらについても過去問を中心に暗記して覚えることが大事です。

工事担当者AI・DD総合種「技術・理論」の勉強法

「技術・理論」は電気通信技術の進歩とともに次々と新技術が盛り込まれてくる分野です。

そのため、新傾向問題が数題出題されます。

見たことがないと焦ってしまうかもしれません。

しかし、出題されても数題なので他の過去問をしっかり勉強していれば十分合格点に達することができます。

また、トラヒック理論など計算問題が出題されますがこちらもパターンが決まっているので、過去問を繰り返しやっておけば十分回答できるようになると思います。

端末設備の技術について

「端末設備の技術」攻略のポイントは次の3点です。

  1. アナログ、ISDN回線の特性など今となっては進歩が止まってしまった分野についても出題される。これらは既に枯れた技術であるとも言えるので過去問を中心に暗記すれば十分対応出来る。
  2. 最近の光回線に代表されるOLTやONUの終端装置の機能などは現在の技術でもあり、頻出問題である。
  3. SIPサーバ、無線LANの規格についてなど頻出されているのでこれらに関しては過去問に加えて、テキストに一通り目を通しておくことがおすすめ。

総合デジタル通信の技術について

「総合デジタル通信の技術」の分野はISDNの特徴などが出題されます。

どのような仕組みでインタフェースが構築されているかを抑えておく必要があります。

この分野についても過去問を繰り返し取り組むことで暗記していくことが合格のポイントになります。

ネットワークの技術について

「ネットワークの技術」の分野は日進月歩で新技術が入ってきます。

そのため範囲が広く、どれが頻出問題なのかということが分かりにくい傾向にあるのです。

以下のような特徴があります。

  • 新傾向問題が出題されるのもこの分野である
  • 最近ではIPv6、IPv4やATM網などの問題が頻出している

「ネットワークの技術」の分野に関しては頻出問題を抑えておき、新傾向問題に関しては「標準テキスト」を読んでおくことが大事です。

また、新傾向問題は諦めてスルーするのも一つの方法です。

トラヒック理論について

技術・理論の中では計算問題として出題されます。

トラヒックの概念、呼量、呼損率の計算問題が出ますが、これらはパターンが決まっている問題なので過去問を繰り返し解いておき、パターンを抑えておくと得点源に出来る分野です。

  • ネットワーク機器に関するリピータ、スイッチ、ルータなどの機能や特徴
  • MACアドレス
  • スイッチングハブのL3スイッチなど

情報セキュリティの技術について

「情報セキュリティ」の分野も日進月歩で新技術が入ってくるので攻略が難しいと言われています。

ネットワークへの攻撃手段や不正アクセス、逆にそれらから情報を守る電子認証やデジタル署名、セキュリティ技術など過去問で暗記することも必要です。

この分野に関しては「標準テキスト」を読んでおくことをおすすめします。

なぜならば新傾向問題が出題された場合に対応出来るようになるからです。

接続工事の技術について

「接続工事の技術」攻略のポイントは次の通りです。

  • PBX、ISDN、LAN、平衡配線、光配線の各工事について工法、配線ケーブルの規格などを過去問を中心に暗記していくこと。

特に新しい技術に関する問題は出題されないので過去問を繰り返し解いて問題、解答の解説を読み込んでおけば十分対応が出来る分野だと思います。

工事担当者AI・DD総合種「法規」の勉強法

「法規」に関してはほぼ暗記問題です。

過去問主体で取り組んでいけばOKです。

ただ、ある程度重要な文言については読み込んでおく必要があるかと思います。出来るだけ多くの過去問を解いておくとよいかもしれません。

電気通信事業法について

「電気通信事業法」攻略のポイントは次の3つです。

  1. 電気通信事業法の重要通信の確保、電気通信事業の登録、業務の改善命令などについて出題される事が多い。
  2. 端末設備の接続の技術基準、端末設備の接続の検査、工事担任者資格者証、利用者からの端末設備の接続請求を拒める場合のパターンを覚えておく。
  3. 特に工事担任者の資格者証に関する問題はほぼ出題されていますので必ず得点できるようにしておく。

工事担任者規則、技適認定など規則

「工事担任者規則、技適認定など規則」の攻略のポイントは次の3点です。

  • 工事担任者の種類、工事の範囲などは必ず出題されるので覚えておく。
  • 資格者証の交付、再交付、返納についても頻出されている。
  • 技術基準適合認定(技適)に関しても最近はよく出題される。

端末設備等規則

「端末設備等規則」攻略のポイントは次の3点です。

  1. 端末設備に関する用語の定義、責任の分界、絶縁抵抗、絶縁耐力、接地抵抗について、配線、端末設備について出題されるため理解を深める。
  2. また、アナログ・移動電話端末、IP電話端末、総合デジタル通信端末などの特徴を過去問から覚えておく。
  3. この分野はほぼ全ての端末に関する範囲になるので割り切って過去問で出題された端末について覚えておき、それ以外の出題がされた場合にはスルーするのもアリだと考える。

有線電気通信設備令、不正アクセス禁止法について

「有線電気通信設備令、不正アクセス禁止法」攻略のポイントは次の3点です。

  1. 有線電気通信に関する電線の種類、線路の電圧及び通信回線の電力、架空電線の支持物、高さ、屋内電線、保安についてが出題されることが多い。
  2. 電気通信配線と屋内強電流配線との交差と離隔距離についても抑えておく。
  3. 不正アクセスについても不正アクセスの禁止、識別符号の不正保管の禁止、アクセス管理者の防御措置などの理解が重要。

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実際に独学で合格した私がおすすめする工事担当者AI・DD総合種取得の参考書

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工事担任者 2021春 総合通信 実戦問題

2021年4月より資格の種類及び名称が変更になる工事担任者 総合通信に対応した問題集です。

リックテレコムの問題集はアナログ・デジタル総合種、AI・DD総合種時代からも定評があり

この資格を受験するならば必携と言える一冊だと言えます。

毎年春・秋と2回発売されますので2冊とも取り組めばほぼ完璧です。

最新試験問題を取り上げ、解し出題傾向や新傾向の問題などについても分かりやすく取り上げています。

そのため同じく予想問題が掲載されることで知識の確認と実際の試験問題への経験値として積み上げていくことが出来ます。

この本を9割出来るようになれば合格は見えてきます。

工事担任者科目別テキスト わかる総合通信(技術・理論)

この資格のテキストで1冊選べと言われればこの本だと思います。

新しくなった資格に対応した技術・理論分野を抑えた内容になっています。

工事担任者科目別テキスト わかる全資格(法規)

同じく工事担任者科目別テキストの法規版です。

ヤフオクやメルカリで中古品が売っていないか探してみました。

2018年秋の「実戦問題」が1,800円で出品されていました。

よろしければ参考にされてみて下さい。

ただし、あまり古いものは情報も古いため役に立ちません。

出来るだけ新しいものを買うことをおすすめします。

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工事担任者とは?

電話線やLANケーブルを保安器からケーブル差込口まで配線工事する際には工事担任者の資格が必要だとされています。(市販されている電話線やLANケーブルを単に接続する場合は不要です。)

ただ、現在は市販されている配線を接続するというよりもIPネットワークやIP端末設備などの知識の証明という意味合いが大きいように思います。

工事担任者の種類

工事担任者は携われる作業ごとにAI(アナログ)・DD(デジタル)に分かれています。

AIはアナログ回線及び機器、DDはデジタル(ブロードバンド)回線及び機器などに区分されます。総合種はAI・DDの両方を包括する形になります。

  • AI・DD総合種
  • AI(アナログ)1種
  • AI(アナログ)2種
  • AI(アナログ)3種
  • DD(デジタル)1種
  • DD(デジタル)2種
  • DD(デジタル)3種

工事担任者はAI(アナログ)1〜3種、DD(デジタル)1〜3種、総合種の7種類の資格がありAI・DDとも3→2→1→総合種の順に難易度が高い形となっております。

工事担任者の求人

工事担任者の資格を取得すると電気通信設備の工事施工などの職業に就くことが出来ます、光回線の工事などの作業員のような仕事です。

また、電気通信設備などの設備管理の仕事などにも就くことが出来ます。

求人状況について

indeedなどの求人情報サイトで工事担任者を検索すると全国で684件がヒットします。

もちろん工事担任者だけでも求人はあります。ただ、電気工事士などの資格と相性が良いので併せて取得すると求人が更に多くなります。

是非併せて両方の資格を取得することをおすすめします。

 

リクナビNEXTの求人情報はこちら

indeedの求人情報はこちら

Yahoo!Japanしごと検索はこちら

工事担任者の年収は?

求人サイトの情報を見ると工事担任者の平均年収は300〜500万円ぐらいが多いようです。電気工事士などの資格を併せて取得すると更に年収を上げることが出来ます。

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試験概要

試験は年2回実施され、「基礎」、「技術・理論」、「法規」の3科目で構成されます。

この3科目全て合格点(60%)を上回れば合格になります。また、科目合格制度があり3年以内にこの3科目を合格すれば資格を取得できるという仕組みになっています。

2019年度工事担任者の試験日

第1回試験日 5/26(日)
第2回試験日 11/24(日)
  • 受験料はネット・窓口申し込みとも8,700円です、ちょっと高めかもしれません。

電気通信の工事担任者 インターネット試験申請受付はこちら

引用: 電気通信国家試験センター

AI・DD総合種の取得方法

  • AI・DD総合種試験を受験し試験に合格する
  • AI1種とDD1種の試験を受験しそれぞれ合格取得後、総合種の取得を申請する

工事担任者の資格の面白いのは試験に合格すればもちろん資格を取得できますが、AI1種、DD1種の資格をそれぞれ合格すればAI1種+DD1種=AI・DD総合種という形で資格の申請が可能です。

ただ、資格の難易度はほぼ同じぐらいなので、普通に総合種を受けて合格する方が無難だと思います。

AI・DD総合種の難易度

 

  受験者数 合格者数 合格率
平成30年度第2回 3,885 819 21.1%
平成30年度第1回 4,274 1,052 24.6%
平成29年度第2回 3,817 651 17.1%
平成29年度第1回 4,165 1,022 24.5%
平成28年度第2回 3,555 765 21.5%
平成28年度第1回 4,261 1,082 25.4%

引用: 一般財団法人 日本データ通信協会電気通信国家試験センター電気通信工事担任者試験統計情報

難易度はほぼ20%前後といったところです。工事担任者試験で最も難しい種類という位置づけなので高難易度のように思えますが、しっかり勉強すれば十分合格可能な資格です。

合格点は60点以上になります、「基礎」、「技術・理論」、「法規」の3科目とも60%を超えれば科目合格も狙えますので取り組みやすい資格だと思います。

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まとめ

工事担任者の資格を取得すると次のようなメリットがあります。

  • 工事担任者の資格を取得すると上位資格の電気通信主任技術者の科目免除が得られる。
  • 工業高校のジュニアマイスター顕彰の対象資格で大学へのAO入試や推薦入試の道が開かれる。
  • 現在のIP技術を抑えているのでパソコンや自宅のネットワークに関しての知識が得られる
  • ネットワークインフラや構築に関連する業種では取得が推奨される資格でもある。

一般的な知名度がいまいちな資格ですが、意外に評価の高い資格でもあると思います。実生活の役に立つ資格でもあると言えます。

この分野に興味のある方は挑戦してみてはいかがでしょうか?